スーパーシティ法案

2020年4月に衆議院本会議で可決された法案。
「国家戦略特区法案(TPP環境準備法)」を元にしており「世界で一番ビジネスをしやすい環境」を作るために、地域ごと、分野ごとに分けて税制優遇付の規制フリー地域を国内の各所につくることを骨子にしている。

国家戦略特区法のながれ

当初は2002年の小泉政権による構造改革特区からはじまった。竹中平蔵氏が活躍してそのまま2011年の民主党 管政権時に「総合特区」として管理。
2013年の安倍政権時に「国家戦略特区」として格上げされた。
2020年時点では区域ごとの規制地域が存在する。
たとえば東京であれば医療の特区、新潟であれば農業特区として管理されている。ちなみに新潟ではローソンの社長が有識者会議に参画している。

スーパーシティ法とは

ひとことで云うと、

「1つの都市すべてをAIでネットワーク化し、デジタルで管理する」

ための法案。
それを実現する新たな仕組みとして下記の構想が挙げられている。

  • 自動運転車両
  • ドローン配達
  • 電気水道ガスのスマートシステム
  • ロボット防犯監視システム
  • 遠隔オンライン教育
  • 行政サービスの電子化
  • キャッシュレス決済【重要】

日本では発案者である竹中平蔵曰く、「すべてがデジタルで管理された“ミニ独立政府”が運営するスーパー未来都市」というイメージが描かれている。

運営・管理するのは誰か

しかし、ネットワーク化するのはAIであったとしても、その情報を管理して運営する「一部の人間」が誰かという点がスーパーシティ法案の懸念されている点である。

現時点では、4つの立場の人間によって管理される想定である。

  1. 国家戦略特区担当大臣
  2. 市町村の首長
  3. ビジネスをする企業=例:スマート車両やるならその企業など
  4. 「3.」のビジネスと深い関わりのある関係者

メリットとしては何か新たなことを始める際に従来の省庁への許可をとる時間が大幅に短縮されるという事と、そのためのルールを自由に作られる事があげられる。

国家の法律にビジネス優位のフリーハンドを懸念

従来なら国の既存の法律の規制を取り払ってやりたい事があるなら、国の省庁の許可をとるための申請が必要なものをすべてスーパーシティ法案のもとでフリーハンドでやれてしまうという自由度の高さにリスクを指摘する声もある。

なぜならこの自由度の高さは「安全のため」「国民のため」ではなく、「ビジネスをやりやすさ」のためにあるという点だ。

ビジネスを劇的にスピーディにやりやすくするという点にしか目を向けていないかのようなスタンスで国民には十分な対応やデメリットについての説明はされていない。
また、この法案を後押しする安倍政権の有識者会議のメンバーのほとんどが経団連の人間である。

最近のトレンド

スーパーシティ法案をあてにした構想として楽天の幹谷氏が提案しているのがオンライで薬を処方するというサービスだ。
コロナウイルスで、外出しづらくなっても薬がオンライで処方できるというもので従来の薬事法の許可をとらなくても総理大臣の許可をもらえば実施できるという運びだ。

このような新たらしいサービスの構築のしやすさが「世界で一番ビジネスしやすい国にする」という目的に通じてくるのである。

スピン報道に埋もれた法案可決

スーパーシティ法案が衆議院本会議で可決されたころ、メディアでは連日の新型コロナウイルスの報道に加えて石田純一のコロナ感染についてひっきりなしに報道されていた。
この隙をつくかのようにスーパーシティ法案は審議時間もなくメディアの露出もほぼないまま可決された。

続いて参議院での審議入りの際も「検察庁法改正」が世間の目を詰めていた。この時も複数の芸能人たちが本件について言及して叩かれるなど物議を醸し一般大衆の耳目を集めた。

いずれもスーパーシティ法案という本命の法案を通すためのスピン報道だったのではないかという見方もされる。

デメリットを知る前に法律が決まってしまった

このように誰がどのように管理するのか、などデメリットになりかねない点について国民には特殊打ちされる事もなく法律が決まってしまったスーパーシティ法案。
日本の政治家では方山さつき地方創生大臣が中国の広州で実現されたAIによる管理都市を視察して、今後のスーパーシティ構想において中国との強力な情報交換を行う覚書まで交わしている。

スーパーシティ法案でAIが吸い上げた情報は誰が扱うのか?

この実情に、個人情報が絡んでくるので不安になる者も少なくない。
AIでネットワーク化され吸い上げられた情報をつなぎ合わせて便利になるようにするのは良いとして、この吸い上げられた情報は誰がどのように責任を持って扱うのか。

ちなみに中国では情報は共産党のものとなる。

日本では通常は「個人情報保護法」のもと個人情報は合法には自由には出せないものとなっている。
しかし、個人情報23条では「公益にかなう理由だった場合、政府は民間事業者に個人情報を出せる」となっている。

ここで問題になるのが「公益」を誰が判断するのかという点である。
この点がまったく明確化されていない。

情報を欲しがっているのは企業だけではない

また、スーパーシティ法によって吸い上げられる情報をビジネスのしやすさ狙いの企業だけではなく財務省も喉から手が出るほど欲しがっている。

その情報とは「預金口座の情報」である。
ここ数年で財務省が国民のお金の動きを一括で把握しようとしており表向きはマネーロンダリング対策と銘打っている。

しかし本当の目的は「タンス預金」の炙り出しだ。
ATMも振り込め詐欺対策のためと云いながら引きだせる額が低くなっているのもその流れのひとつとも取れる。
日本のみならず世界的にも引き出せる金額が減っているのも実情だ。

ここで更に預貯金の口座とマイナンバーの紐付けまで検討しており、更には健康保険との紐付けも議題として出している。

お金の流れの完全把握。そのゴール地点がいわゆるキャッシュレスである。
キャッシュレス還元をPRして促進させているのもこのような背景があるからともいえる。

誰がいつどこで何のためにいくら使ったかを中央で把握できるようにするのが目的である。ちなみに中国は実施している。

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